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トルシエ・サッカー日本代表元監督が訪問、メルローが繋ぐサンテミリオンと仁木

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 ワールドカップ開幕を前にサッカー熱が盛り上がりる中で、サッカー日本代表の元監督フィリップ・トルシエが自らのワインを携えて、北海道仁木町を訪れた。地元のワイナリー生産者と意見を交換し、地域活性化に向けた夢を語り合った。


 トルシエは2002年開催の日韓ワールドカップで、日本代表を初めて決勝トーナメントに導いた。今も知名度は高い。その後、アフリカ、ベトナム、中国などでサッカー監督を務めた。以前からワイナリーを持つのが夢で、2014年にサンテミリオンに1haの畑を購入してワイン造りに乗り出した。


ワインにはストーリーやイメージが必要


 まず物事を始めて軌道修正しながら進むタイプ。経営者に必要なスピード感覚を持ち合わせている。


 「ブラッド・ピットのワインが世界で売れているように、数あるワインの中から選ばれるにはストーリーやイメージが必要」


 ワールドカップ開催の今年、「FLAT3 by KANTOKU 2023」をリリースした。「サッカーファンのために造ったワイン」で、3333円という購入しやすい価格設定。


 トップ・キュベの「COUP DU CHAPEAU」は、帝国ホテルのフレンチレストラン「セゾン」にオンリストされている。プレミアム・レンジの「SOL BENI」や白の「EXTRA TIME」は、ハイエンドのホテルやレストランにアロケーションで販売している。ブランディングや販売戦略が明確だ。


 今回の企画はメルローの銘醸地サンテミリオンと仁木町の比較試飲をして、地域活性化につなげたいという狙いがあった。仁木町の後援の下で、NIKI Hills Wineryがイベント「サンテミリオン×仁木-メルロ」を企画した。仁木町のエレガントでライトボディのメルロは「冷涼気候のメルロ」と呼ばれて来た。


 トルシエはNIKI Hillsの畑を見渡して「小高い丘、坂」まるでサンテミリオンにいるようだ」と語った。

 
 凝縮感のあるサンテミリオンのワインと比較して、日本の雨の多さがワインに表れていることを感じた。収量を落とすなど栽培醸造の工夫について言及した。「北海道は温暖化の影響をアドバンテージとして利用できるだろう」と語った。


 「エクストラ・タイム 2023」(EXTRA TIME 2023)はソービニヨン・ブラン55%、セミヨン45%。セミヨンは新樽100%。洋梨、セルフィーユ、柔らかさのあるフラワリーなニュアンス、かすかなミントの繊細なアロマ。フレッシュで骨格がある。後味にほんのりバニラが漂い、新しいディメンションを与える。アーティチョークのマリネと合わせたい。


 「ソル・ベニ 2019」(SOL BENI 2019)は平均樹齢35年のメルロ80%、樹齢60年を超す古樹のカベルネ・フラン20%。カシス、ブラックチェリー、杉、スモーク、土。フレッシュな酸味とタンニンが骨格を作る。ベルベットのようななめらかなタンニン。若々しい果実味を残しつつも、熟成の複雑なニュアンスが感じられる。合わせる料理は和牛のローストビーフ・マッシュポテト。ワインのなめらかさと柔らかい和牛&マッシュポテトのテクスチャーが溶け合う。


ワイン造りはチーム構築 サッカーと同じ


 トルシエは調和力と明晰な発信力を持つ天性のリーダーだ。


 「自然、栽培、醸造から最高のパフォーマンス(能力)を引き出すのが私の仕事。それぞれの能力をまとめて素晴らしいワインを造る」と語り、「今日のテイスティング会は、品質評価のマッチ試合ではなく、ディスカバリー(発見)です」と締めくくった。


 Domaine BlessとNorth Creek Farmを訪問し、質問を投げかけた。


 「情熱を持ってワイナリーを始めて、ビジネスとしては大丈夫なのか?」


 欧米の中小ワイナリーは、ボトリングライン一つとっても移動式サービスでコストを抑えている。日本は小規模でも「一通りの設備を揃えたい」という生産者が多い。免許や衛生管理に関する法令の問題もある。


 「若い世代が働きかけをして制度を変えて、新しいビジネスを作るべきだ」とトルシエ。


 仁木町は過疎化で人口が減少し、消滅可能性都市にリストアップされていた。対策のひとつにワイン産業がある。ワイナリーの建設も進み、新規参入者や雇用が促進された。2024年には消滅可能性都市のリストからはずれたが、人口減少に歯止めはかかっていない。子供たちでサッカーチームを組むための11人が集まらない。


 しかし、このイベントを通して生まれた新たな地域の絆や将来のワイン産地としての可能性が、仁木町産のワインで乾杯する未来のJリーガーを育てるかもしれない。ワインの熟成のようにゆっくりと着実に。ワインがもたらす奇跡を私は信じている。


Text & Photo by  近藤美伸

NIKI Hillsの畑。メルロの芽を見て「サンテミリオンでは開花が終わり、小さなブドウの房ができている」と
サンテミリオン×仁木-メルロ意見交換会
子供たちが20歳の自分に宛てたメッセージを書いたボトルラベル。NIKI Hillsは故郷への愛着を醸成する事業「仁木町子ども体験塾」を実施している
左から、トルシエのEXTRA TIME Bordeaux Blanc 2023とFLAT3 by KANTOKU 2023、Domaine BlessのYour Story Merlot 2024とIto-糸-2023、North Creek FarmのMerlot 2024、NIKI Hills WineryのMerlot 2023、トルシエのSOL BENI 2019
元ソムリエ協会会長の熱田貴氏と仁木神社を訪問

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