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冷涼なサンタ・バーバラ、サンフォード古酒ピノに高ぶる

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 カリフォルニアのサンタ・バーバラの涼しさを見直している。

 先日参加したカリフォルニア・ワインズ・サミット。北から南までピノ・ノワール18種を試飲した中で、ヨーロッパ的な優雅さをとりわけ感じたワインは、ソノマ・コーストとサンタ・リタ・ヒルズだった。

 サンフォードのサンフォード&ヴェネディクト・ヴィンヤード2010は、アルコール度が14・5%とやや熟しすぎだが、きれいな酸が保たれていた。サンタ・リタ・ヒルズの涼しさが思いやられた。半年ほど前に購入した94年サンタ・イネス・ヴァレーがあることを思い出し、開けた。

 すさまじい澱の量だった。どのようい注いでも混じるのは避けられない。ノンフィルターの証だ。ブラウン・マッシュルーム、黒砂糖、黒コショーの香り。澱が混じって、やや苦味を感じるが、きれいに熟成している。よくできた古いカリフォルニアのピノの複雑性と純粋さがよく表れている。最近の14%超のピノ・ノワールに疲れる身には、違和感がなくていい。

 アルコール度は13%。果実は熟していても、暑い感じはしない。サンタ・イネス・ヴァレーは海からの影響を強く受ける。オー・ボン・クリマのジム・クレンデネンが「サンタ・バーバラは、収穫期がカリフォルニアで最も涼しい」と話していたのを思い出した。

 サンフォードは2005年に、リチャード・サンフォードが売却したが、80年代から90年代は意欲的な挑戦を続けていた。設立は81年だから、オー・ボン・クリマとほぼ同時期。サンタ・バーバラのパイオニアの一つだ。

 94年はやや樽が強すぎる感じだが、無理に抽出した感じがしない。その後に試行錯誤を重ねたのだろう。古いカリフォルニアのピノは興味が尽きない。それはブルゴーニュも同じだが。

(2013年10月 自宅で)
サンフォード サンタ・イネス・ヴァレー ピノ・ノワール 1994
購入:米西海岸のショップ 35ドル
一月に一度は飲みたい度:88点

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