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エネルギーの塊、マルセル・ダイスのピノ・ノワール「ビュルランベルグ」

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 フランスの3大産地であるボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュ。日本でも人気が高く、多くの生産者が手に入る。アルザスはフランスはもちろん、世界的に知られているにもかかわらず、日本での知名度はやや低い。2年おきに開かれている見本市「ミレジム・アルザス」を訪れて、産地としての面白さを再発見した。
 2日間にわたるイベントの幕開けは、ジョスメイヤーで開かれた「DIVINES D'ALSACE」だった。ワインを注ぐのは女性ばかり60人以上。当主の家族、醸造家、販売責任者らが、野菜、シュークルート、肉、デザート向けなど料理に合うワインを8つのテーブルに分かれて、サービスした。その中で、ピノ・ノワールだけは料理とは切り離して、テロワール別に注がれた。
 圧巻だったのはやはり、マルセル・ダイス。醸造家のマリー・エレーヌ・クリストファーロがワインを注いでいた。ジャン・ミシェル・ダイスは単独品種を基本とするアルザスのワイン造りに異を唱え、複数品種のブレンドによるワイン造りを認めさせた男としてあまりに有名だが、赤ワインも産地のトップを行く。2007年に参画した息子マチューは、2008年から醸造責任者となったが、ジャン・ミシェルが全体を指揮している。”革命家”の息子らしく、マチューも次世代のヴィニュロンを集めて、テロワールを表現するワイン造りを先導しているという。
 彼のワインは単一品種で造る「ヴァン・ド・フルーツ」、グランクリュを含む特定の畑から造る「ヴァン・ド・テロワール」、遅摘みの「ヴァン・ド・タン」の3つに大別される。「ビュルランベルグ」はヴァン・ド・テロワールの一つ。大半がピノ・ノワールで、ピノ・ブーロ、ピノ・ブラン、ピノ・グリなどピノの変異種が少量含まれる。ブルゴーニュの畑にも見られるが、混植混醸といっても、仲間同士だからブレンドに違和感はない。ブルゴーニュのコート・ド・ニュイに見られるバジョシアンのウミユリ石灰岩に火山性土壌が混じっている畑という。
 「マルセル・ダイス ビュルランベルグ 2015」(Marcel Deiss Burlenberg 2015)はラズベリー、レッドチェリー、スパイシーで、塩気を帯びた酸がフレッシュ感をもたらしている。岩を砕いたようなチョーキーなミネラル感。スモーキーで、タンニンは生き生きしている。石灰岩からくるフィネスと硬い質感を、凝縮した果実と14%を超すアルコール度が包み込み、ブルゴーニュの暑い年を思わせるエネルギーを感じる。遅摘みで糖度を確保し、醸造の初期は1日1回のパンチングダウンを行う。長期熟成力がある。92点。
 ブルゴーニュ的な手法で本格的にピノ・ノワールを初めて造ったのは1970年台後半のヒューゲルと言われる。当時の醸造責任者ジョニー・ヒューゲルは「無理にピノ・ノワールを造らせるなら、酢を造る」と反抗したとされるが、現在はマルク・ヒューゲルが立派な「ピノ・ノワール・グロシ・ローイ」を世に出している。温暖化でアルザスも変わりつつある。

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