世界の最新ワインニュースと試飲レポート

MENU

  1. トップ
  2. 記事一覧
  3. ジャック・ティエンポンが前線から後退、畑を購入して前進続けるル・パン(ボルドー2025プリムール)

ジャック・ティエンポンが前線から後退、畑を購入して前進続けるル・パン(ボルドー2025プリムール)

  • FREE

 朝一番でル・パンを訪ねたら、ジャック・ティエンポンがいなかった。とまどった。なぜいないのか。彼の穏やかな笑顔に迎えられるといつもほっとするのに。


 2本しか試飲アイテムのないル・パンの持ち時間は20分。昨年は渋滞で15分遅れて小走りで駆け込んだ。彼は微笑みながら開口一番、


 「あわてないで。深呼吸して」


 気持ちが楽になって、グラスに集中できた。


 ポムロールはブルゴーニュに似ている。のんびりしている。小さな村のだれもが顔見知りだ。今回は余裕をもって着いたので、ル・パンの畑を歩いていたら、2頭のゴールデン・レトリバーが散歩していた。


 ドメーヌで迎えてくれたのは、チーフ・ワインメーカー兼エステート・マネジャーに昇進したダイアナ・ベルーエ・ガルシアとマネージング・ディレクターのヴィアニー・グラヴロー。


 グラヴローはオルネッライアとマッセートの販売・マーケティング責任者を務めたフランス人。経営や財政を担当する。フィリポナやサロン・ドゥラモットなどプレミアム・ブランドで要職を務めたやりてだ。


ジャック・ティエンポンが引退モードに


 ジャックがマダム・ルーバから購入した1haのメルローの畑からル・パンを始めたのが1979年。ドメーヌ・ジャック・ティエンポンを設立し、2010年にサンテミリオンでリフを始め、2015年にはコート・ド・カスティヨンでレートルを始めた。


 ジャックは妻のフィオナ・モリソンMW、息子のジョルジュ、ウィリアムとと共にベルギー出身のティエンポン家を率いてきたが、80歳に近くなり、日々の経営から身を引くモードに入っている。


 2025年のポムロールは5月から8月まで雨がほとんど降らず雨量は40ミリだった。ブドウは小粒で、平均収量はポムロールが25.5hl/ha、サンテミリオンが34.7hl/haだった。リフは粘土石灰岩質のプラトー(台地)とスロープ(斜面)から生まれ、コンクリートとステンレス・ヴァットで醸造される。


 「リフ 2025」(L'IF 2025)はメルロー75%、カベルネ・フラン25%。ダークチェリー、ブラッドオレンジ、アイリス、程よく凝縮していて、心地よいグリップ。酸味が高く(pH3.28)、多めのカベルネ・フランのもたらす活力がある。石灰岩質からくる塩気を帯びた余韻が長い。9月11日のメルローから収穫を始めた。新樽50%。アルコール度は13.6%。94点。


 「ル・パン 2025」(Le Pin 2025)はブラックチェリー、プラム、砕いた石、コーヒー、上質なタンニン、噛めるような果実味、2024年に比べると、凝縮感と重量感のあるフルボディ。サテンのテクスチャー、クラス・ド・フェール(酸化鉄を含む粘土土壌)が生むミネラル感、エキゾチックでエネルギーがあふれている。小粒だったため20hl/haの低収量だった。9月5日と10日の2回にわけて収穫された。65%新樽。26度の低めの温度で発酵したがアルコール度は14%。96点。


ル・パンが1haの畑を追加


 ル・パンはヴュー・シャトー・セルタンに隣接する1haから始めたが、4月に入ってサンテミリオンとの境界に位置するレヴァンジルから1haの畑を購入した。カベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニヨンも栽培されている。畑が追加されてどう変わるか。注目される。


 

ダイアナ・ベルーエ・ガルシア(左)とヴィアニー・グラヴロー
ジャック・ティエンポン
松の木が目印
ル・パンの畑を散歩する犬
かつてはル・パンのセラーで試飲していた

購読申込のご案内はこちら

会員登録(有料)されると会員様だけの記事が購読ができます。
世界の旬なワイン情報が集まっているので情報収集の時間も短縮できます!

Enjoy Wine Report!! 詳しくはこちら

TOP